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疼痛疾患のQ&A
- 1.腰椎椎間板ヘルニアは自然に無くなることがあるのか?
- 2.腰痛の治療時に行われる骨盤牽引療法は効果があるのか?
- 3.痛みがある場合、温めたほうがいいのか?冷やしたほうがいいのか?
- 4.歩いていると膝がガクッとなる現象はどうしたらよいのでしょうか?
- 5.梅雨になると痛みが強くなる?
- 6.腰と膝はつながっているの?
- 7.腰痛は鍼治療にどのくらい通うと治るのでしょうか?
- 8.頚部椎間板ヘルニアは鍼治療にどのくらい通うとよくなるのでしょうか?
- 9.レントゲンやMRIで異常がみられた場合、症状がなくても診断されるのでしょうか?
- 10.足の裏で指の付け根部分が痛いのですが、何が原因なのでしょうか?
- 11.左の手と左の足が悪いのですが、左が弱いのですか?
- 12.これからの寒さ対応にはどうするといいのでしょうか?
1.腰椎椎間板ヘルニアは自然に無くなることがあるのか?
保存的な治療をまず2ヶ月~3ヶ月間受けてみて、それからどうするか考えるのが良いように思います。
ヘルニアは20~40歳位までに発症するものと考えられており、その時に適度な炎症が起こっている場合に予後が良いのではないかとされています。つまり、この時に起こったヘルニアは縮小したり消失したりする症例がかなりあるようです。ある文献では保存的な治療により50%位が縮小・消失したという報告があります。その後、炎症が治まってきた半年後以降ヘルニアを持っている人は無くならない症例が多いようです。
この医学的な機序の解明はまだですが、有力な説はヘルニアが起こることによって局所に炎症が起き、それを異物として捉えたマクロファージなど免疫機構によって排除されるというものです。
したがって、保存的な治療をまず2ヶ月~3ヶ月間受けてみて、それからどうするか考えるのが良いように思います。
鍼治療は免疫機構の活性化に効果がありますので、ヘルニアの治癒過程に何らかの作用を及ぼすものと思われます。このことに対する科学的根拠はまだ不明ですので、このことを含めた研究を疼痛疾患班で証明してゆきたいと思います。
2.腰痛の治療時に行われる骨盤牽引療法は効果があるのか?
疼痛疾患班では科学的根拠を証明してゆくために研究を続けています。
骨盤牽引は腰椎牽引とも言われています。この歴史は1946年にBoniによって提唱され、本格的に臨床に応用されたのは1950年以降で、現在、腰痛患者に対する牽引療法の使用頻度は70~90%に及んでいます。
この作用機序は①局所の安静、②体重の免荷(体重による負担を軽くする)、③椎間孔を開大して神経根の圧迫除去、④脱出髄核の還納(もとに戻す)、⑤脊椎筋の弛緩作用、⑥腰痛・下肢痛の循環動態の改善、⑦心理的効果などが考えられます。適切な時期で適切な病態のものに行う必要性があり、専門医にご相談下さい。
しかし、これはあくまで仮説で、現在よく耳にするEBM(科学的根拠)が乏しく、研究者の多くからは骨盤牽引の効果に対しては否定的な面が多いと言われています。この点は鍼灸治療も同じで、現在、腰痛に対する科学的根拠に乏しいのが現状です。我々鍼灸の臨床に携わる者は確かに良くなる現象を多く見出していますので、疼痛疾患班ではこの科学的根拠を証明してゆくために研究を続けています。
3.痛みがある場合、温めたほうがいいのか?冷やしたほうがいいのか?
その時の状態にもよりますので主治医にご相談下さい。
臨床をしていると、患者さんのほとんどの人が湿布を貼られていますが、これは冷湿布で冷やしておられます。それでいいのでしょうか?確かに炎症が起きている場合、冷やしてそれ以上炎症がひどく(広がる)ならないようにしなければいけません。
しかし、朝の起床時に痛みが強くて調子が悪く、動いているうちに楽になっていく痛みの原因は血行に問題があることが多く(老化とも考えられます)、この場合は温めて血行を良くしたほうが痛みが和らいでくるのです。
足首の捻挫でも最初は冷やしますが、3~4日後には温めたほうが治りが早い場合もあります。その時の状態にもよりますので主治医にご相談下さい。
さて、温める手段には様々なものがあります。季節的に春から秋まではサポーターなどで患部を保護して保温させる方法があります。また、冬は肌着に貼るようなカイロを貼って温める方法が簡単で長時間持続しますので効果的です。この場合、特に就寝時の低温やけどには注意が必要です。
鍼治療は刺激が強すぎると炎症が強くなって痛みが悪化することがあります。しかし、患者さんの状態を正確に把握して行えばそんなことは起きませんし、良好な状態にしてゆくことができます。
疼痛疾患班では患者さんの状態を把握できるような技術を身につけ、適切な治療とアドバイスができるよう、班員が実践的に研鑚努力しています。
4.歩いていると膝がガクッとなる現象はどうしたらよいのでしょうか?
少しでも起こさないような予防には運動が効果的です。
膝がガクッとなる現象の一番多い原因は膝の筋肉が弱っていることです。特にあまり歩いていない日々が続いて急にいつもより余分に歩いた時、またはその次の日に何気なく家の中を歩いている時に起こることが多いようです。
筋力は10~20歳代より徐々に低下傾向にあります。充分鍛えている人でも徐々に低下してくるほどですので、使わない人は低下するスピードが早くなり、筋肉が疲労しやすい状態になってきます。
そこで、これらの現象を少しでも起こさないような予防には運動が効果的です。ただし、痛みが強い人は無理をするとさらに悪くなりますのでご注意下さい。
鍼治療は不自然な炎症をおさえ、痛みを緩和してくれます。また、足の運びが良くなり、効率よく筋力アップをすることができます。当院では鍼治療により痛みが和らいできたら、動ける範囲内で徐々に動かしていって足腰の筋力アップを目的とした歩行をお勧めしています。
また、膝がガクッとなる現象には半月板(膝の中の軟骨)や靭帯(膝を安定させている線維)が悪くなっていることがありますので、これらを鑑別してゆかなければいけません。疼痛疾患班では患者さんの状態を把握できるような技術を身につけ、適切な治療とアドバイスができるよう、班員が実践的に研鑚努力しています。
5.梅雨になると痛みが強くなる?
このことに関してはどうしてそうなるのかはっきりとした作用はわかっていないのが現状です。
このことに関してはどうしてそうなるのかはっきりとした作用はわかっていないのが現状です。しかし、長年、患者さんと接していると、梅雨になると調子が悪くなる人が多いのは事実です。
気象と体は確かに関係がありますし、東洋医学の古い古典の本にもそのような記載があります。今も昔も変わらないということでしょう。
さて、梅雨になると体調を崩すという現象は確かにあるため、それに対する対策法を考えなければいけません。自分の体は自分で積極的に管理する必要があります。そこで、その管理方法について述べてみたいと思います。
①気温の差が激しくなるため、その環境に体がついてゆけなくなります。そこで、今日は肌寒いと思ったら冷えないように保温が必要です(いつもより厚着にする)。痛みがある場合にはその部をサポーターなどで保温しておきましょう。
逆に暖かいと思ったらいつもより薄着にする必要があります。常に体の周辺の環境を一定にするという考え方です。
痛みがある場所は常に冷えないような工夫はどんな時でも必要です。
②雨で外出する機会が減り、運動不足になりがちです。雨の日でも外出する用事を作りましょう。動かすことによって血行が保たれ、痛みが出にくくなります。
この二つを守り、健康管理にお役立て下さい。鍼治療により血行を良くし、梅雨を乗り切るだけの体作りはできますし、歩行に関しては効率よく筋力をアップさせるよう、足の運びの改善に役立てることができます。
6.腰と膝はつながっているの?
腰と膝は確かに関係があると思います。
この理由は以下の通りです。
①姿勢
腰が悪い人のほとんどが腰が反っています。正常でもやや反った状態ですが、悪くなるとさらに腰が反ってきます。そうなると、“でっちリ、でっぱら”の状態になり、胸をはった一見良い姿勢に見えますが、膝はどのような状態かというと、体重が後にかかってくるため、軽く曲げた状態となります。このような状態は膝の関節全体に体重が乗るのではなく、不均等に体重が乗ってくるため、負担がかかっている部分の変形が出てくるために、膝が痛くなってくるのです。
また、膝が悪いと悪い方の膝をかばって良い方の膝に体重を無意識にかけてしまいます。したがいまして、後から見ると体が傾いているのが明らかにわかる人がいます。こうなると、片方の腰に負担がかかり、痛みが出てくることが多いと思われます。
②筋力低下
腰痛や膝痛は運動不足の結果、筋力が衰えて起こる代表選手です。腰と膝が同時に痛くなるのは明らかです。
現在、腰が悪い人、または膝が悪い人は長年患っていると腰の人は膝が、膝の人は腰が悪くなってくる可能性が高いので、このようにならないためにも、足や腰の筋力を高める必要があります。それには、歩行が一番と考えます。1日に40分程の歩行で良いと思いますので心掛けて下さい(午前中20分、午後20分でも可)。
鍼治療は痛みを和らげ、歩行をしやすくし、歩行により効率よく筋力を高める作用があると考えますので、鍼治療と共に歩行をされることをお勧めします。
7.腰痛は鍼治療にどのくらい通うと治るのでしょうか?
腰痛といってもその痛みを起こしている原因には様々なものがあります。
レントゲンやCT、MRIなどで調べても原因がわからないものも多いのですが、おおまかに知る目的で東洋医学研究所のホームページのコラムで私が執筆させて頂いたものがあります。
これには、症状によりその腰痛の原因となる病態(タイプ)を判別して、タイプごとに治療がどのくらいかかるのかを記載したものです。同時に日常で簡単に行える腰痛体操も記載してありますので、是非一度ご覧下さい。
8.頚部椎間板ヘルニアは鍼治療にどのくらい通うとよくなるのでしょうか?
まず、3ヶ月はがんばって治療の継続をお勧めします。
椎間板ヘルニアといえば、腰部がよく知られていますが、頚部(首)の椎間板ヘルニアもあります。その症状は首の痛みや腕のしびれ、ひどい時には指が動かしにくい(字を書いたり、箸が持てない)など様々です。
ひどい場合は頚髄症という脊髄の圧迫からくるものもありますので、それらを鑑別(徒手検査などでもかなりわかります)してその患者さんに最も良い治療法を提案させていただきます。
頚部椎間板ヘルニアの場合、保存療法(牽引、鎮痛薬、ブロック、頚椎カラーなど)により3ヶ月間で改善した例が多いという文献があります。鍼治療でも1ヶ月から3ヶ月で症状が改善する例が多いようです(このことは今後の検討課題)ので、まず、3ヶ月はがんばって治療の継続をお勧めします。
今回は頚部に関してですが、この3ヶ月という期間はほとんどの病気にいえることです。
人によって病態や重症度が違いますので、まず一度受診されることをお勧めします。疼痛疾患班の班員は患者さんの病態や予後をわかりやすく説明してくれます。
9.レントゲンやMRIで異常がみられた場合、症状がなくても診断されるのでしょうか?
症状がなくても、レントゲンやMRIを撮ってみた場合、様々な病態を示していることがあります。
たとえば、椎間板ヘルニアがあったり、骨の変形(椎間板がすりへって狭くなっている、トゲが出ているなど)があったり、骨の不安定性(2つ以上の椎骨が動かすことにより正常以上の動揺を示し、不安定な状態になっていること)があったりすることはかなりの症例にあることがわかっています。
このような結果から考えてみると、レントゲンやMRIなどの画像診断により異常があるからといってすぐに診断することはできません。このような画像の異常があり、それにあった症状が出ている場合にはじめて診断名が下されることになるのです。
逆から考えてみると、腰が痛いのでレントゲンを撮ったら骨の変形があるからこれが原因だとは100%断定することはできないのが現状です。これは頚部にも言えることです。
今回のようなケースがみられたら、いつ症状が出現してもおかしくないので、日常生活を工夫してその部の付加を減らすようにし、軽めの運動をして周辺の筋力アップを心がけて下さい。
10.足の裏で指の付け根部分が痛いのですが、何が原因なのでしょうか?
歩行による体重移動にはかかとから降りるのが普通ですが、膝や腰が悪いと体が前のめりになり、つま先から降りてしまうことがあります。
一番多い原因はこれにあたると思います。
体重がかかとにかかる場合でもこのようにかかとが痛くなることもあるのですが、今回のご質問では指の付け根に体重がかかかることにより痛みが出てくるのです。
この時にはもとである膝や腰の状態を良くすることにより歩行の状態が良くなり、かかとから降りることができるようになり、痛みがやわらいできます。ただし、姿勢が良くなっても痛みが取れるのには時間がかかることがあります。
鍼治療により膝や腰の状態を良くすると同時に、足をまねく(足関節を伸展)ために必要なスネの筋肉を鍛えて足をまねき易くしてかかとから降りるように心掛けて下さい。
11.左の手と左の足が悪いのですが、左が弱いのですか?
だいたいの傾向として、よく身体を使う人は左、事務職の人は右というように別れるようです。
左ばかりが悪いため、脳梗塞を起こしているのではないかと心配になり、レントゲンやMRI、CTなどを撮ってもらう人をよく見かけます。結果は、どこも異常がなく、その原因がわからないということで終わってしまうことがよくあるのです。
だいたいの傾向として、よく身体を使う人は左、事務職の人は右というように別れるようです。どういうことかというと、利き腕が右ならば、左の方は一般に筋力が弱くなるので、全身をよく使う仕事に従事されている人は左が悪くなりやすいのです。次に事務的な人は右ばかりを使いすぎるために丈夫な右であっても悪くなることが多いように思います。
ただし、はじめのうちは左であっても、それをかばっているうちに右も悪くなるといったことも多いのが現状です。
このような状態にならないようにするためにも、早めの治療が大切であると思います。整形外科では予防といった治療はできませんので、こういった分野は鍼治療がすぐれているものと思います。
使いながら治してゆくため、時間がかかりますが、確実に治ってゆくことがわかると思います。
12.これからの寒さ対応にはどうするといいのでしょうか?
部屋の温度をあまり上げずに1枚多く服を着て頂くことがお勧めです。
寒さ対策で一番簡単なのは、部屋の温度をあまり上げずに1枚多く服を着て頂くことがお勧めです。部屋の温度を上げると、外に出た時に寒さに弱くなるからです。また、体で一番弱い所(痛みがあるとか冷えやすい)といった所は血行が悪くなっており、冷えやすいので外出時や睡眠時には1枚余分に服や布を当てて保温に努めて下さい。
さて、寒がりとか暑がりと言われますが、その差は何が原因かと言うと、実は体温なのです。もっと、詳しく言うと、基礎代謝が高い人ほど寒がりではなく、冬でも薄着で平気で過ごしてゆけるのです。太った人も基礎代謝が高い人が多いので寒がりの人はすくないのですが、太った人は生活習慣病の発症が心配ですので、同じ基礎代謝が高くてもあまり良くないのです。健康的に基礎代謝を高めるためには、どうしたら良いかというと、運動をして筋肉量を増やすことをお勧めします。筋肉はあるだけでエネルギーを使うので、じっとしていてもどんどん脂肪を燃焼してくれ、常に基礎代謝が高くて体温が高い状態を維持してくれます。もちろん、ボディービルダーのような隆々とした筋肉の持ち主になれということではなく、普段より多めの筋肉量を持って頂ければいいのです。これで寒い冬を楽々乗り越えてゆけるのです。





